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汗は大敵!放置は厳禁!

厳しい暑さが続いております。橘屋のある東京・八王子も、連日うだるような熱気に包まれています。皆さま、きちんと水分補給はされていますか?体調を崩されていませんか?

私が子どもの頃(はい、昭和生まれです)、真夏日といえば30℃を超えることが大ニュースでした。40℃を超える日が続くなんて、当時は想像すらできませんでした。地球の温暖化とともに、夏の過ごし方もすっかり変わってしまいましたね。

そんな猛暑の季節、着物にとっての最大の敵のひとつが「汗」です。今回は、この汗の怖さと、夏ならではの着物ケアについてお話しします。

知らぬ間に染み込む汗

着物を脱いだとき、補正用のタオルがぐっしょりと濡れていて驚いた経験はありませんか?

実は、自分ではあまり汗をかいていないつもりでも、脇・帯まわり・背中には想像以上に汗が溜まっています。冷房の効いた室内で過ごしていたとしても、油断は禁物。短時間の着用でも、「今日は涼しかったから大丈夫」などと自己判断してしまうと、大切な着物を傷めることになりかねません。

なぜ汗が危険なのか

汗は99%以上が水分ですが、そのほかに塩化ナトリウム、アンモニア、尿素、乳酸などが含まれています。

この成分が、時間とともに繊維に残り、酸化して黄変やシミ、さらにはカビや嫌なニオイの原因になります。見た目には何の変化もなくても、実は生地の内部では着物にとって深刻なダメージが進行していることもあるのです。

特に絹は非常にデリケートな素材。

水分や湿気を吸いやすく、放っておくと繊維が弱くなってしまいます。

「汗は水性」でも絹は水洗いNG

汗は水性の汚れなので本来は水で洗うのが理想ですが、絹は基本的にドライクリーニングで洗います。

なぜなら、水で洗うと縮みや形崩れ、色落ちのリスクが高くなるからです。

絹糸は、細かい繊維が束になって1本の糸を作っています。水がその隙間に入り込むと、繊維が膨張して束が緩み、全体の形や風合いが損なわれるのです。これが「水に弱い」と言われる理由です。

汗を多く吸ったサイン

脇や帯まわり、背中などは汗が溜まりやすい場所です。脱いだときにその部分の生地のシワが戻らない場合は、汗を多く吸っている証拠。早急なケアが必要です。また、淡い色や薄手の生地は、変化が現れやすいので特に注意が必要です。着用後のちょっとしたチェック習慣が、着物の寿命を大きく左右します。

シミ抜き作業

着用後すぐにできる汗対策

1. 着物をすぐにハンガーに掛ける

帯を外し、着物用ハンガーに掛けて湿気を飛ばします。直射日光は避け、風通しのよい場所で陰干しをしましょう。

2. 汗を吸った部分の確認

脇、背中、帯下のあたりを軽く触って湿り気やシワの残りを確認。異常があれば早めに専門店に相談を。

3. 肌着や補正具の工夫

吸湿性の高い肌着や汗取りパッドを活用することで、着物に直接汗が届くのを減らせます。

汗抜き加工という選択

着物にとっての汗汚れは、目に見えなくても確実にダメージを与えます。

「汗抜き加工」は、その名の通り、汗成分を専用の処理で取り除くクリーニング方法です。ドライクリーニングでは落としきれない水溶性の汚れをきちんと除去でき、黄変やカビの予防につながります。

特に夏場や単衣の時期に着用した後は、シーズンの終わりや大切な行事の後などに一度「汗抜き」をしておくと安心です。

夏の着物との付き合い方

夏は、麻や絽、紗などの涼やかな素材、淡い色合いの着物や浴衣を楽しめる季節。正しいケアを知っていれば、季節ごとに長く愛用できます。暑さ対策のためには、半衿や長襦袢なども洗いやすい素材や仕立てを選び、こまめにお手入れすることも大切です。

また、着物でお出かけする日は、移動ルートや時間帯を工夫して、少しでも涼しい時間に行動すると快適さがぐっと増します。

最後に

まだまだ厳しい暑さが続きそうです。

どうぞこまめに水分補給をして、ご自身の体も大切にしてください。そして、大事な着物を守るためにも、汗対策とお手入れを忘れずに。橘屋は、皆さまの大切な一着を長く美しく保つお手伝いをいたします。

夏の着物やお手入れについてご不安なことがありましたら、いつでもお気軽にご相談くださいませ。

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